竹島に関する社会情勢
韓国は日本の領有主張に対して敏感に反応している。韓国側が竹島周辺の海盆に韓国名を付け国際機関に申請しようとしたことに対抗して、日本が竹島領海外の周辺海域に調査船を派遣しようとするや、韓国政府は猛反発、韓国海軍が出動した。
韓国社会における状況
日本の竹島に対する抗議行動に対して、韓国市民は街頭で日章旗を燃やす、日本の首相の顔写真を貼った人形を吊るし上げる、抗議の切腹を演じる、日本の国鳥である雉を惨殺する、など過激な抗議行動を繰り広げている。また報道でも日本の行動を痛烈に批判している。
韓国の過激な反発の原因は、韓国政府が歴史を客観的に見ることを避け、自国に有利な資料を探し出し、国民に領土認識を植え付けるための教育と広報方策をとってきた点にあるといわれる[要出典]。また、日本の韓国併合(および小中華思想)からの反日感情を利用したともされる。
日章旗損壊
日本の竹島に対する抗議行動に対し、韓国市民は街頭で日章旗を燃やすパフォーマンスを演じているが、韓国刑法109条で外国国章損壊罪は2年以下の懲役と制定されている[78]。しかし、同第110条には「(被害者である)外国政府の意思に反して公訴を提起することができない」とされているため、日本政府が日章旗への損壊について被害者として抗議しない限りこれらの刑法は適用されない。
反日感情に訴える韓国の広報活動や教育
韓国側では、官民挙げての広報が盛んであり、韓国国内の多くの場所で「独島はわが領土」という看板や横断幕が見られる。また、韓国内だけでなく、アメリカのロサンゼルスでの国道沿いの巨大看板、ニューヨークのタイムズスクエアの電光掲示板、ニューヨーク・タイムズ紙への全面広告など、特にアメリカでの領有アピールを活発に行っている。その他、独島(竹島)の切手を発行したり、独島(竹島)の地質や環境の情報をインターネットサイトで英語や日本語で紹介するなど、実効支配が確立した平和的な島であるかのようにもアピールしている。また、韓国政府及び自治体での広報や学校教育では領有の根拠に関する説明に乏しく、ほとんどの場合で「日本による歴史歪曲」「捏造」「軍国主義による略奪」など反日感情に依拠しているところが多い。政府の発言や街頭示威行動、これらを紹介するテレビ番組においても同様のことが言える。
1999年に創設された韓国に関する情報宣伝工作活動を行うことを目的とした韓国の民間組織 VANK (Voluntary Agency Network of Korea)に対し、韓国政府はこの組織のインターネット上の行動に対して公式に支援しており、李明博大統領は2008年に5000万ウォン(約328万円)の予算を公表している[79][80]。VANK は「世界に日本の「歴史歪曲」を知らせて国際社会における日本の地位を失墜させること」を目的としたディスカウントジャパン運動を行い[81]、サイバーデモと称する抗議活動を行っている。その手法は、世界の各機関への韓国側の主張の大量送信、英語版wikipediaの組織的編集[82]などである[注釈 13]。
また、VANK は韓国観光公社との共同事業として、韓国の歴史認識に基づいた『韓国観光広報小冊子』を発行し世界中の観光団体や学校などに発送したり、慶尚北道との共同事業として、竹島問題について組織的・計画的に情報宣伝工作を行うサイバー独島士官学校を設立、2009年の時点で生徒数は1万人を突破した[83]。
韓国における領土教育
韓国の中高歴史教科書においては、17世紀末に韓国の漁民安龍福が松島(現在の竹島)を朝鮮の領土であることを認めさせるために日本に渡ったことが強調されている。また、小学、幼稚園児にも竹島の領有を教育しているほか“独島はわが領土”という歌も歌われている。このような領土意識の教育は、韓国領有の正当性を幼い頃から定着させる政府政策の一環である。
「独島の月」・「対馬島の日」
学術界における活動
「独島」呼称の国際認知を目的とした韓国のキャンペーンは多方面で行われ、たとえば学術界においても、新規に発見された生物種の学名の名付けなどによって続行されている。竹島では多くの新種微生物が発見されているが、2005年頃より韓国系生物学者によって、新規学名に「独島」が含まれるようになっている。新属としては、Dokdonia donghaensis (Yoon et al. 2005) ほか6種[84]、新種としては、Maribacter dokdonensis (Yoon et al. 2005) ほか11種の「独島」を含む学名が提唱された[85]。
日本社会における状況
日本では政府が韓国の行動に対し毎年抗議を行っているものの、一部の右翼団体による街宣活動を除けば、国民の関心度は低い。しかし韓国の一方的な実効支配の行動や猛烈な抗議行動が、日本のマスコミで取り上げられるたび、日韓問題の特集番組にも取り上げられ、逆に日本国民の竹島問題に対する関心が高まっている。日本政府は韓国に対し抗議するも韓国政府や市民の猛反発を抑えることに苦慮し、問題を国際法に則って平和的に解決するよう促しているが、韓国は領土問題は存在しないという立場を崩していない。
- 以下は日本の竹島領有権主張に反対する発言や行動
小沢一郎秘書の発言
北海道教職員組合による資料配布
日教組の傘下の北海道教職員組合が2008年(平成20年)11月、竹島について「韓国の主張が事実に則っている」、北方領土について「日本固有の領土式の観点ではなく、アイヌ民族や戦争との関係でとらえさえて考えさせる」などとした資料を各校に配布したことがある。
動労千葉による日本政府弾劾
日本の新左翼の中核派の影響下にあるとされる、東日本旅客鉄道(JR東日本)の労働組合の国鉄千葉動力車労働組合は、2008年の新学習指導要領の解説書で竹島を「日本固有の領土」と教えるよう求めると発表したことについて、「日本政府が、帝国主義的領土略奪と国益主義・排外主義の扇動で危機を突破しようとする許し難い攻撃である。」と批判し、「日韓労働者連帯の立場から、怒りを込めて弾劾する。日本政府は解説書を撤回し、今後一切、独島強奪策動を中止せよ。」と宣言した[87]。
民主党による竹島領有権放棄問題
2011年(平成23年)2月27日、韓国を訪問した土肥隆一民主党党倫理委員長は、金泳鎮韓国国会議員との共同記者会見で日本が竹島の領有権を放棄する「日韓共同宣言」に署名を行った。この署名に対する批判に対して、土肥は「共同宣言は外交交渉上有効になるようなものではない」と述べ、共同宣言の撤回は行わなかった[88]。
創価学会
創価学会は 創価学会インタナショナル のテーマソング『21世紀のマーチ』の中で「竹島は韓国のものである」と人文字(ハングル文字)でアピールされていたことを知らずに放送した結果、学会幹部や学会員から指摘を受け21世紀のマーチの内容を差し替えた[89]。またこれとは別に創価学会が韓国で複数回反日集会を開いていた事実も発覚している[90]。
切手の発行
大韓民国郵政事業本部は、独島を題材とする切手を1954年、2002年、2004年の3回出している[91]。1954年の切手は普通切手で、当時日本の郵政省はこの切手を貼った韓国からの国際郵便物の受取拒否をした[注釈 14]。2002年の切手はセットの一部であったため日本では認知されなかった[注釈 15]。2004年1月16日発行の切手は「独島の自然」と題されたもので、日本のマスコミでも大きく報道された。しかしこの時には日本の郵政事業庁は国際郵便受取拒否といった強硬措置は採らなかった。
また北朝鮮も2004年と2005年に「竹島切手」を発行した。しかしあくまで「韓国が主張する領域は北朝鮮の領土」との主張と、対南融和的な政治的目的があったといえる。なお切手の図案には絶滅したはずのニホンアシカが登場していたり、北朝鮮の版図として韓国を含む朝鮮半島全体が描かれている。
日本政府は、韓国による竹島切手の発行を万国郵便連合憲章に抵触するとして抗議している[92]。
「竹島切手」
2004年1月の韓国での「独島の自然」切手を発行を受けて、新宿郵便局が取り扱っていた写真持込による製作サービスに対して、日本の市民が数万枚に上る大量の写真付き切手である「竹島切手」を申し込み、郵政事業庁も当初受け付けたが、同年2月17日に日本郵政公社は「外交上相応しくない」と判断[93]、国際友好を掲げた万国郵便連合憲章の精神にも反する」として拒否し、同サービスも中止された。ただしトラブル以前に通信販売による「竹島切手」が受け付けられていたと見られ、多くの「竹島切手」が写真付き切手で製作されているといわれている[94]。
なお、日本の郵政当局は北方領土については2005年に「最北の自然・北海道」として、択捉島に現存する旧紗那郵便局などを題材とする切手を発行している[95]。だが、竹島切手については島根県から要望もあったにも関わらず、日本側が韓国による竹島切手の発行を万国郵便連合憲章に抵触するとして抗議していることから[92]、今後も発行しないとみられる。
地図等での名称・位置の表記
「独島博物館」のレリーフ
韓国政府によって鬱陵島に建設されている「独島博物館」の八道総図のレリーフが、本来の地図とは逆に、于山島の位置が鬱陵島の東(竹島の位置)に移動してあり、于山島を竹島とする韓国の主張に合うように捏造されていることが下條正男によって指摘され[96]、「博物館という公的機関による虚偽展示の影響は計り知れない」と批判していた[97]。このレリーフは竹島が韓国領だと視覚的に示すために作られた同館のシンボルであったが、2007年の産經新聞の取材に対して、同館研究員は、位置が違う理由について「来館者がより見やすいように」と説明する一方、「日本の研究者からクレームが多く、紛争の火種になるので近く撤去する予定だ。年内には別の展示に取り換える」と同館は誤りを認めたうえで、撤去予定である旨を答えた[97]。しかし2011年、水島総が「独島博物館」を訪問したところ、このレリーフがいまだ掲示されていることが伝えられた[98]。
Xbox Live
2007年秋の Xbox 360 アップデートにおいてユーザーのプロフィール機能が強化された。この際住所の項目には「独島」と入力することができるのに対して、「竹島」と入力すると登録できない。これが一部の利用者の反感を買い、Xbox 360 のボイコットが発生、問題になったため後日「竹島」も入力できるように変更された[99]。
オレゴン州自動車管理局朝鮮語版マニュアル
アメリカのオレゴン州自動車管理局のホームページ朝鮮語版における運転マニュアルに、翻訳者である韓国系アメリカ人が「独島は韓国の領土である」といった記述を数ページにわたって追加した。日本の外務省はオレゴン州政府に対し公式に抗議した。オレゴン州政府は遺憾の意を表明しこのような表現を認めたことはないと釈明、当局は直ちに閲覧中止にし、当該ファイルをウェブサイト上から削除した。翻訳者の韓国系アメリカ人は「韓国系の住民が見る物であるので問題はない」と話した[100][101][102][103][104]。
韓国紙幣上の地図表記
韓国銀行が2007年に100,000ウォン紙幣の図案として、表に金九の肖像を採用すると発表[105]したが、裏面の韓国国宝の古地図『大東輿地図』に原版にない独島を記入していたため、韓国国内で「文化財の改竄」と批判があった。この紙幣は2009年1月に発行中止になったが、これは従来よりも10倍の高額紙幣であること、金九が南北統一政府の樹立を主張していたことから、保守系の李明博現政権が問題視し、見送られたとの指摘[106]があるが、「文化財の改竄」が理由ではない。
Google マップなどでの記述
Google の提供する Google マップにて竹島について日本語で「ウルルン郡」という記述があることに関し、自民党の佐藤正久参院議員により質問主意書が提出され、政府は2012年3月17日、「閲覧者に対し竹島が韓国領であるかのような誤解を与えるもので、わが国の立場に照らし受け入れられない」とする答弁書を決定した。
また、Google マップにおいて、竹島が韓国領として表記されているとして、島根県が Google日本法人に対し、「閲覧者に対し、韓国領であるとの誤解を与える虞がある」として、表記を改めるよう、2012年6月15日付で要望書を提出している[107]。
その他の見解
東京大学教授姜尚中は、2010年1月2日、韓国MBCの取材に「独島は韓国が実効支配してるじゃないか。だから日本は戦争をしない限り、独島を実効支配することは不可能です。日本が竹島だと主張しても、放っておいてかまいません。私達が我々の領土を実効支配しているからね」と述べ[109]、また同年3月10日、韓国中央日報の取材を受けて、「日本から独島問題を巡る妄言が出てきても、韓国は実効的支配をしているため感情的に対応する必要はない」と韓国側に立った主張を行っている[110][111]。また、在日本朝鮮人総聯合会の関連団体である在日本朝鮮留学生同盟(留学同)は、日本の領有権主張に反対する声明を行っている[112]。