朴大統領の言葉通り、今回は「あり得ないこと」が起こっただけに、問題の解決には事実関係を速やかに解明することが何よりも重要だ。しかし大統領による今 回の一連の発言は、優先順位に問題があると言わざるを得ない。今国民が最も知りたがっているのは、文書で指摘されていたようにチョン・ユンフェ氏が国政を 壟断(ろうだん)したとする疑惑が果たしてどこまで事実なのかということだ。ちまたでは、チョン氏についてのさまざまな疑惑が事実であるかのように語られ てきた。また文書の作成と流出に至る過程で、権力の中枢部で何か暗闘のようなものがあったかどうかも明らかにしなければならない。
大統領はこの日、今回の問題で衝撃を受けた国民には一言の謝罪もなく、主に文書の流出とメディアの報道ばかりを問題視した。何者かが政争に悪用する ため大統領府の公式文書を違法に流出させたのであれば、大統領の言葉通り「国の綱紀を乱す行為」だ。しかし大統領がこのことだけを問題視し、秘戦問題につ いては「話にならない話」などと最初から取り合わないのであれば、今後出てくる検察の捜査結果を自ら損なうことになるのではないか。
問題の文書は大統領府で作成され、公式のルートを経て報告された上で、すでに「公共記録物」として登録されている。文書が作成された場所も大統領府であ り、流出した場所も大統領府だ。ところがこれを入手し報じたメディアを告訴しただけでなく、大統領自らメディアを批判するのは明らかに本末転倒だ。
大統領は今回の問題の根本原因が、不透明な国政運営のやり方に起因している事実をしっかりと認識しなければならない。わずか数人の側近に頼り切った今の体 制では、事実でないことが事実に変わり、これによっていたずらに問題が拡大することは避けられない。今回大統領の側近たちと関係する数々の疑惑が最初に提 起されたのも、野党ではなく与党内部だった。繰り返される人事の混乱も、一連の疑惑を既成事実と認識させるに十分だった。今国民が聞きたい言葉は、政権発 足からまだ2年もたたないうちに表面化した今回の事態を、国政を根本から見直すきっかけにしたいとする大統領の決意の言葉ではないだろうか。
[出典]
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2014/12/02/2014120201344_2.html