世界有数の援助大国といわれる日本。外務省によれば2012年の日本のODA(政府開発援助)実績は約104億ドル(暫定値)と、世界で5番目に多いという。ODAのうち、返済義務のある円借款の貸付契約累計額は29兆2232億円、供与先はアジアが中心だ。
その中には昨今関係が冷え込んでいる中国や韓国への援助も含まれているが、政治的衝突が起きるたび、こうした公的援助の是非が議論の的になる。時には、両国が「円借款を踏み倒している」なんて話がネット掲示板を賑わせることも。
だが、国家間での借金が反故にされるなんてことが本当にあり得るのだろうか? 日本のODA実施機関であるJICA(国際協力機構)を直撃したところ「円借款のほとんどは、貸付契約で定めたスケジュール通りに返済されています」との答えが返ってきた。
「ODAの資金協力のひとつである円借款とは、途上国政府に低利かつ長期のローンで貸し付けるものです。これまでの円借款貸付契約のうち、貸付が実行された資金の総額は累計22兆円に上りますが、うち10.4兆円は返済されています」(同広報室)
しかし一方で、債務免除済み、もしくは免除見込みの円借款も合計約8000億円に上る。総額からみれば3%程度だが、今後財政危機に陥った途上国が返済を拒否すれば、さらに“未回収”の額が膨らむ可能性もあるが…。
「いえ、ほとんどの国は経済状況が苦しくなっても、対外債務をなんとか返済しようとします。返済できなくなった場合、同国の政府だけでなく、民間企業も連動して信用を失ってしまうからです。そうなれば世界中から資金を調達できなくなり、多くの経済活動に支障をきたすなど、広く悪影響が出ます。そのため、条件緩和などの交渉を求めることはあっても、返済義務を反故にするようなことは考えにくいでしょう」(同)
借りた金は返す。この常識は、国家間においても例外ではないようだ。
[出典]
http://r25.yahoo.co.jp/fushigi/rxr_detail/?id=20131017-00032651-r25