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韓国軍がベトナムでしたこと3―ライダイハン(2)

韓国軍の虐殺行為

ベトナム戦争が終わり、南北ベトナムが統一して既に四半世紀が通ぎた。そして韓国ではここ数年、あの戦争をめぐり長らくタブーとされてきた過去について、かつてない議論が進められている。その過去とは、ベトナム戦争に参戦した韓国軍によるベトナム民間人の虐殺問題だ。
最初にタブーを破ったのは、韓国のハンギョレ新聞社[13]が発行する週刊誌『ハンギョレ21』だった。同誌は1999年、韓国軍がベトナム戦当時に起こした虐殺事件について記事を掲載したのだ(5月6日号)。この記事を書いたのは、韓国人歴史研究者のク・スジョン。 彼女はベトナム戦争の韓国軍の残虐行為が記されたベトナム側の資科を入手し、韓国の市民団体の一行とともにベトナム現地で検証を始めたのだ。ある地域で、 猛虎部隊(韓国軍部隊)等による1か月間の作戦で1200名もの住民が虐殺されたという66年当時のベトナム側の報告を紹介しながら、同時に生存者たちの 証言に基づき虐殺の様子を具体的に描いている。
例えば、生存者の証言からは韓国軍による民間人虐殺の方法にいくつか共通した類型があったようだと、同記事には記されている。以下、その部分を略して引用する。
  • 大部分が女性や老人、子供たちである住民を一か所に集め、機関銃を乱射。
  • 子供の頭を割ったり首をはね、脚を切ったりして火に放り込む。
  • 女性を強姦してから殺害。強姦しながら拷問。妊産婦の腹を、胎児が破れ出るまで軍靴で踏み潰す。
  • トンネルに追い詰めた村人を毒ガスで殺す……等々。
日本の戦争責任を追及してきた韓国の人々にとって、自国軍が虐殺をしていたのだという告発は、苦いものであったに違いない。
続いて同誌の2000年4月27日号には、住民虐殺を行なったという元軍人による加害証言が掲載された。戦争当時、一般住民とゲリラを区別するのは難しく、我が身を守るためには仕方なかったのだとその元軍人は述壊した。しかし同時に、今やその行為に罪の意識をもち、韓国政府がベトナムに謝罪し被害者に補償することを望むという彼の声も、同誌では伝えられた。
これと前後して米誌『ニューズウィーク』 が「暴かれた英雄の犯罪」と題してベトナム戦争での韓国軍の虐殺問題を取り上げた(2000年4月21日号)。ク・スジョンらの調査を紹介しつつ、 「8000人以上の民間人を殺した韓国軍の虐殺行為の数々」が明らかにされつつあると、7ページにわたり大々的に報じたのだ。タブーであった虐殺事件につ いてのこれらの報道に対し、韓国国内では激しい反撃が起きた。
同年6月27日には、ベトナム戦に従軍した退役軍人ら2000人余りがハンギョレ新聞社に乱入しコンピュータな どを破壊した。彼らは「大韓民国枯葉剤後遺症戦友会」のメンバーで、国のために闘った戦友を冒涜されたと激しく抗議したのだ。ベトナムへの韓国人派兵は 64年に始まり、延べで30万人以上の兵士を送り込んだ。米国に次ぐ大派兵であった。この戦争で約5000人の韓国人が死んだ。ハンギョレ新聞社に乱入し た元兵士たちがそうであったように、アメリカ軍が散布した枯れ葉剤の被害に苦しむ元兵士らが、今も韓国には多い。
ベトナム戦争当時、韓国軍総司令官だった蔡命新は、先の『ニューズウィーク』でのインタビューで「誰に対しても償う必要はない。あれは戦争だった」と明言している。アメリカ軍によるソンミ事件などの虐殺行為がベトナム戦争当時から国際的に批判を受け議論の的となったのとは対照的に、韓国軍による虐殺行為については、こと韓国国内では長く沈黙が保たれてきた。
(中略)また全斗煥盧泰愚両大統領がベトナム戦争で武勲を挙げた軍人であったという政治事情もあり、ベトナム戦での過去は、韓国では幾重にもタブーであり続けた。しかし、冷戦終結と韓国の民主化により、このタブーは破られた。(中略)韓国の歴史教科書には、ベトナム戦争についてほとんど記述はされていない。中学生向けの国定教科書に記されているのは「そして、共産侵略を受けているベトナムを支援するために国軍を派兵した」の約1行のみだ。
佐藤和、「被害者史観韓国を揺るがすベトナム民間人虐殺の加害責任」 『SAPIO』 2001年9月26日号


 

 

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