日本からの経済協力金、円借款についての韓国側評価 2005年には韓国内で日韓基本条約で得た請求権資金を個人補償にほとんどまわさず国内投資に使って発展の基礎を作った事が公開され、それにより経済発展を促した 朴正煕 政権の判断を「貧困脱出・国家再建のための不可避な選択」という評価と「クーデターで執権した軍事政権が徹底できなかった過去の整理」、植民地支配の完全清算を捨てた「屈辱外交」とする声が錯綜している [22] 。 韓国の高度経済成長に果たした円借款の役割について、国際協力銀行(現 国際協力機構 )から外部評価を依頼された韓国の 産業政策研究院 (The Institute for Industrial Policy Studies , IPS)の2004年の評価報告書では、1960年代半ばから90年までの約30年間を対象として、円借款事業が韓国の経済・社会に与えたインパクトを、 技術レベル向上、交通渋滞緩和および環境改善等の効果、産業技術の発展、生活水準の向上、環境保全等が確認される、と評価した [3] 。 この中で、高速道路建設事業(1968年)は輸出志向工業の本格化における物流および貿易の阻害要因を取り除くことを目的として実施され、移動費用の削 減、時間短縮、貨物損傷の減少、交通事故の減少等が、間接的効果として、農村および漁村の発展、地域間格差の縮小等が確認され、第三次5カ年計画 (1972~76年)の重化学工業化政策における浦項総合製鉄所拡充事業(1974年)は、対外開放政策の代表的事例となり、忠州多目的ダム(1978 年)は、洪水防御や農産物の増産、電力需要への対応、観光開発に貢献したと評価した。 延世大学 経済学部 金正湜 教授は2000年に韓国 対外経済政策研究院 から出版された「対日請求権資金の活用事例研究」において、 第二次世界大戦 終結後、日本が請求権資金を支払った韓国、 ミャンマー 、 フィリピン 、 インドネシア 、 ベトナム の五カ国を比較し、韓国が最も効率的にこれを使用したという分析を報告した [15] 。 対日請求権資金はどの国においても概ねインフラ整備や国民生活向上に投資されたが、投資の効率性は韓国が最も高く、「韓国は、徹底した事前計画で最も効率 的に資金を活用した国家として評価を受けている」とし、「原資材導入に多くの投...