急速な中国の経済減速を受け、これまで中国に過度に依存してきた韓国が、好調なベトナムに貿易相手先を移す“シフト”を強めている。韓国経済を従来 支えてきた中国経済への高依存度が、ここにきて裏目となった格好で、韓国の経営者などを対象にしたアンケートでは、経済危機まで「残り10分」とたとえる 悲観的な見方も急増。中国との“共倒れ”を避けたい韓国が、一斉にベトナムになびいている。
■中国に翻弄される韓国
「韓国では2000年代にグローバル化が加速する過程で中国が最大の輸出相手国になり、中国経済の影響を受けやすくなった」
シンクタンク「日本総研」調査部の上席主任研究員、向山英彦氏は韓国経済の動向に注目する。
韓国では、中国経済の高成長が続いていた時期にはプラスの効果を受けたが、近年は反対に“チャイナショック”を受けているというのだ。
その言葉通り、韓国銀行の調査によると、韓国の貿易に占める主要国の割合は、輸出では中国が2000年の10・7%から15年には26・0%に、輸入も中国が00年の8・0%から15年には20・7%に、それぞれ急増している。
特に15年は安価な中国製鋼材の輸入が増えたこともあり、対中輸入依存度は過去最高を記録した。
韓国の2000年代の年平均成長率は4・4%だったが、チャイナショックの影響を受け、近年は2~3%台に失速。15年の実質GDP成長率は2・6%に低迷した。
韓国がチャイナショックの影響を強く受けやすい背景には、海運や造船、鉄鋼、電子機器、機械など輸出入の影響を受けやすい業種を多く抱えている事情もある。
さらに韓国では、輸出に占める新興国の割合が58・8%(14年、IMF統計)とアジア諸国の中でも高く、中国の成長減速に伴って新興国の成長が鈍化した影響も直撃した。
そのため持続的な成長を遂げるには、「過度な中国依存の是正が課題」と向山氏は指摘する。
http://www.iza.ne.jp/kiji/economy/news/160507/ecn16050712000001-n1.html