韓国・北朝鮮
韓国ソウル市内で販売される犬肉
ソウル市内の飲食店で提供される犬鍋
かつて朝鮮半島では人糞を犬に食べさせて飼育する風習があった。犬を人糞で育てる習俗はモンゴルにもあるが、ここでは逆にゲルの成員の糞を与えて育てた犬を、ゲル周辺を警備し、余所者の侵入を防ぐ忠犬として養育するという要素を持つ。また、食肉家畜を人糞で飼育(養豚)するという概念自体は、中国や朝鮮半島の済州島および南方の沿岸地域、近代化以前の日本(現在は沖縄でわずかに残っている)などにも見られた。[要出典]
韓国の犬肉料理文化は、犬食の習慣を持たない国から問題視されることがある。韓国では、1988年のソウルオリンピック開催に際して、欧米諸国の批判をかわす為、犬食に対する取締りが行われたが、犬肉料理を愛好する人も少なくない為に大通りから遠ざけられて黙認された。2002年のFIFAワールドカップの際には、FIFAが「犬肉を追放してほしい」と韓国政府に要請してきたが、FIFAの副会長でもあるチョン・モンジュンは拒否した。2006年、韓国国務調整室が行なった調査によると年間200万頭の犬が食べられていた[6]。2008年の調査によると、ソウル市内だけで530店の食堂が犬食を扱っている。違法のため、当局による衛生管理が行なわれておらず社会問題化している[7]。
2008年4月にはソウル市当局が正式に犬を嫌悪食品とする禁止令を撤廃し、食用家畜に分類する発表を行った。これに対し韓国国内の動物愛護団体が反発を強めている[8]。動物愛護団体は城南市で狭い檻に入り犬食文化の反対運動を行なった[9]。
朝鮮半島では韓国だけでも数百万頭の食肉専用に改良された犬種であるヌロンイが、 牛や豚と同様の酪農家によって飼育されており、屠殺方法も電気ショックによるシステマチックな方法によるとされ、外圧による安易な犬食禁止は家畜として飼 育されている食用犬を無為に全滅させかねない行為であると批判する識者もいる一方で、本来では食用品種ではない犬種、時には野良犬や明らかに愛玩犬であっ たと思われる犬などが、伝統的とされる撲殺などの残虐な方法で食肉に供されている例が今日でも存在すると主張する者もいる[要出典]。
北朝鮮においては、食糧難の中、数少ない蛋白源として犬肉は珍重されている。平壌観光のガイドブックには「朝鮮甘肉店」と記載され紹介されており、案内員に希望すれば朝鮮甘肉店へ連れて行ってもらうことも可能である。なお欧米の批判の影響を受けにくいこともあってか、平壌甘肉店は大通りに面した場所にある。犬は残飯を与えても育つので、家庭で小遣い稼ぎに飼われることがあり、中でも結婚資金を稼ぐために数頭の犬を飼う若い女性を「犬のお母さん」と呼ぶ。育った犬は自由市場で売買される[10]。
韓国でも国際的な批判や、犬をペットとして買う人が増えている者が増えていることから、犬肉に馴染みのない者が増えている。特に若い世代の需要は減 少しており、2015年の1年間に犬肉を食べたかというアンケートに対し、50~60代では回答者の約半数に上ったが、20代ではわずか20%にとどまっ た[11]。